【IWC】「WATCHES & WONDERS GENEVA 2026」レポート Vol.3

「WATCHES & WONDERS GENEVA 2026」vol.3 [更新日:2026年4月16日]

華やかさや装飾性ではなく、あくまでエンジニアリング。
会場全体がラグジュアリーの演出を強める中で、IWCは一貫して「機械としての時計」を前面に押し出してきます。このスタンスは今年もまったくブレていません。

2026年のIWCは、ラインナップとしては大きく3つの軸で構成されています。
パイロットウォッチ、ポルトギーゼ、そしてインヂュニア。

中でも今年、会場で特に注目を集めていたのはパイロットウォッチの新作群です。

象徴的なのが、“宇宙環境”を想定したモデル「パイロット・ベンチュラー・バーティカル・ドライブ」。
リューズを排し、ベゼル操作で機能をコントロールするという構造は、従来の時計の操作概念を大きく変えるものです。極限環境での使用を前提に設計されており、IWCらしい“用途から設計する”思想が非常に明確に表れています。

実機を前にすると、スペック以上に感じるのは“道具感”。
デザインのためのギミックではなく、あくまで機能の結果としてこの形になっているという説得力があります。
(※不思議な感覚に夢中で写真を撮り忘れてしまっておりました。すみません・・・)

 

今年のIWCでもうひとつ印象的だったのが、「プティ・フランス」をテーマにしたパイロットウォッチの存在です。

ストラスブールの歴史地区に着想を得たこのシリーズは、従来のIWCのイメージとはやや異なるアプローチ。
無骨さや機能性を前面に出すだけでなく、どこか柔らかさを感じさせるカラーリングや質感が特徴的です。

実機を見ると、写真以上に繊細なトーンが印象的で、特にダイヤルの色味は光の当たり方によって表情が変化します。いわゆる“パイロットウォッチらしさ”を保ちながらも、スタイリング次第で幅広いシーンに馴染む仕上がりです。

IWCというとエンジニアリングや機能美のイメージが強いブランドですが、このモデルからは文化や風景といった情緒的な要素を取り込む余地も感じられ、今年のコレクションの中では一つのアクセントになっていました。

 

また、こちらも印象的だったのが、同じくパイロットラインの新作であるフルルミナス仕様のセラミックモデル。

※公式サイトのイメージ画像です

ケース全体が発光するというインパクトの強い仕様ですが、実際に暗所で見ると単なる話題性ではなく、視認性という実用面にしっかりと結びついています。
IWCは以前からセラミック素材の扱いに長けていますが、今年はその技術をさらに一段進め、「素材そのものを機能化する」方向へ踏み込んでいる印象です。

 

今年のIWCを一言で表すなら、「環境対応型の時計」です。

ここでいう環境とは、単に日常生活ではなく、
・宇宙
・極限環境
・視認性が制限される状況
といった、より過酷な使用条件を指します。

つまりIWCは今年、「どこで使う時計か」から逆算した開発を、より先鋭化させているということです。

IWCはトレンドを追うブランドではありません。
他ブランドがデザインやストーリーで魅せる中、IWCはあくまで「機能」と「構造」で勝負している。
だからこそ派手さはないものの、実機に触れたときの納得感は非常に強いブランドです。

ポートフィノ・オートマティック・デイ&ナイト 34

今年の新作を見て感じるのは、IWCがさらに“ニッチを深掘りしている”という事実です。

万人受けではなく、用途と思想に共感する顧客に刺さる設計。
この方向性は、今後の高級時計市場においてむしろ強みになるでしょう。

 

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