「WATCHES & WONDERS GENEVA 2026」vol.5 [更新日:2026年4月17日]

今年のゼニスは、非常にわかりやすい構成でした。
新しいコレクションを広げるのではなく、既存の強みを“2つの軸”で徹底的に磨き上げるという戦略です。
その中心にあるのが、
「クロノマスター」と「G.F.J.」。
この2ラインに絞って完成度を高めてきた点が、今年の最大の特徴です。
まず注目すべきは、「クロノマスター スポーツ」の新展開。
中でも今回初登場となったのが、シリーズ初のスケルトン文字盤モデルです。

オープンワーク化されたダイヤルからは、エル・プリメロ 3600の構造がダイレクトに見える設計。単なるデザイン変更ではなく、“ムーブメントを見せる”ことを前提とした作り込みがなされています。


実機を目の前にすると、印象はかなり明確です。
従来のクロノマスターが“完成されたスポーツクロノ”だとすれば、今回のスケルトンはよりメカニカルで現代的な表現。


それでいて視認性はしっかり確保されており、デザイン先行ではなく、あくまで機能とバランスを崩していない点はゼニスらしい仕上がりです。
そしてもうひとつの柱が、「G.F.J.」コレクション。
昨年登場したばかりのシリーズですが、今年は明確に“上位ライン”としての位置付けが強化されています。

搭載されているのは、ゼニスの歴史を象徴するCal.135。
クロノメーターコンクールで数々の賞を獲得した名機を現代的に再構築したムーブメントです。
実際に手に取ると感じるのは、“クロノグラフブランドのゼニス”とは明確に異なる重厚感。
石素材のダイヤルや質量感のあるケースによって、ラグジュアリーとしての存在感を強く打ち出したシリーズに仕上がっています。
新たに追加されたモデルは、いずれも素材使いが非常に特徴的で、
・ブラッドストーンを用いたイエローゴールドモデル
・タンタルケース×オニキスダイヤルの超限定モデル
といった構成。いずれも極めて個性が強く、一本ごとの存在感が際立っています。



今年のゼニスを見ていて感じたのは、「ファンに向けた時計作りに振り切っている」という点です。
実際、新作の多くは万人受けを狙ったものではなく、ブランドの歴史や機構に価値を見出す層にしっかり刺さる内容になっています。
クロノマスターでは“エル・プリメロの魅力を視覚化”し、G.F.J.では“歴史的ムーブメントを最高峰の素材で表現する”。
この2軸は非常に明快で、ブランドとしての方向性に迷いがないことが伝わってきます。

今年のゼニスは「新しさで驚かせる」というより、“持っている武器をどう磨くか”に集中した年です。
その分、完成度が非常に高い。
特に実機を見たときの説得力は強く、スペックや写真だけでは伝わらない魅力がはっきりと存在します。
クロノグラフのゼニスと、ラグジュアリーのゼニス。
その両面を明確に打ち出してきた2026年。
ブランドとしての“現在地”が、非常にクリアに見える内容でした。
























































